

光の記憶
「光の記憶」
写真は、英語では photograph(=光の画という意味)というように、写真にとって光はなくてはならない存在です。また、光は、紀元前ギリシャ文明の時代から、世界を構成する基本的な要素(atom)のひとつとして考えられていたような、とても基本的な存在でもあります。そんな「光」を表現したフォトブック(絵本)「光の記憶」を作りました。本展示会は、その絵本からピックアップした作品を展示したものです。
絵本「光の記憶」は、大きくふたつの章で構成されています。
第一章では、人類が「光」をどのように捉え、どのように理解してきたか、その歴史に着目して表現しました。「光」が独立した存在としてこの宇宙に登場したのは、宇宙誕生(ビッグバン)から38万年もの後です。それは、旧約聖書の冒頭において「光あれ」と神が最初に創造されたものとして描かれます。近代科学が発展するまで光は概念的な存在でしたが、かの天才物理学者ニュートンが光は7つの色からできていることを発見(Birth of Color)したのち、科学的な解明が進みます。やがて、光の色の違いは光波(Light wave)の波長の違いであることが発見され、電波や赤外線、エックス線と波長が異なるだけの同じ電磁波であると理解が進みます。さらに、物質はその温度によって特定のスペクトルを持つ光(電磁波)を発する(Radiation)ことがわかりました。そのスペクトルを細かく研究するうちに光が波であることに疑問がもたれるようになり、アインシュタインによって光も粒子であること(Quantum)が解明されます(アインシュタインはこの「光子」の発見によりノーベル賞を受賞しました)。現在、光も含めた基本粒子は11次元もある時空間が紐のなかに畳み込まれて4次元(3次元+時間)となり、その結果として存在している(畳み込まれ方によって光になったり、別の基本粒子になったりする)と考えられるようになっています(Future)。その変遷を表現したのが第一章です。
第二章では、情報伝達媒体としての「光」を捉え、光に記憶された様々な情報を描いてみました。それは、ときに人の喜怒哀楽であったり、結晶に閉じ込められた「光」であったり、そこから解き放たれた「光」であったりします。
絵本は、第一章「光あれ」からスタートし、現在(第二章)、そして未来へと続いていく構成になっています。本展示も、この絵本の構成に即した展示になっていますが、個々のサブテーマは独立性が高く、特に、順番を意識することなく見ていただければ、と思います。
展示作品
「光の記憶」から
第一章
「光あれ」
「Birth of Color」(一部)
「Radiation」(一部)
「Quantum」
「Future」(一部)
第二章
「光の記憶(慈しみ)」(未展示)
「光の記憶(迷い)」
「光の記憶(喜び)」
「光妖精の悪戯」
「うたかた(For a moment) - revised -」